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【メッキのプロ直伝】腐食とは?腐食による材料への影響と腐食を防ぐ方法

更新日:2023年10月15日

金属材料は世の中のさまざまな材料として活用されています。


金属材料にとって、一番の敵は腐食と言っていいかもしれません。

鉄などが錆で赤茶色になっている様子を見ることがありますが、これも腐食の現象の一つです。

腐食とはどのような現象で、見た目の他にどんな影響があるのでしょうか?


本記事では、腐食そのものの原理や影響を説明し、それを回避する方法もご紹介します。

中でも、耐食性に優れる無電解ニッケルメッキについて、詳しく解説します。


製品などに金属材料を使用する方は、避けて通ることができない腐食対策の一環として、ご一読いただければ幸いです。


■INDEX■


  ・腐食の定義

  ・腐食の種類

  ・腐食による影響


  ・鋼材における腐食

  ・鋼材の腐食を防ぐ方法


  ・アルミニウム材における腐食

  ・アルミニウム材の腐食を防ぐ方法


  ・無電解ニッケルメッキの原理と特徴

  ・無電解ニッケルメッキと鋼材

  ・無電解ニッケルメッキとアルミニウム材





 

1.腐食とは?

1.1.腐食の定義



金属材料を扱う際、注意すべきものとしてよく「腐食」という現象のことを耳にします。


腐食というのは、金属材料において材料が化学的に変質し、劣化してしまう現象のことです。

鉄などが「錆付く」現象も腐食による現象の一種です。


鉄の錆は鉄表面が水や空気中の水蒸気と反応し、酸化して赤系の別の物質となっている状態です。

錆が発生しているところもボロボロと落ちてしまったり、劣化してしまうイメージが有り、これは腐食に伴う典型的な状況です。


実際に腐食という現象は錆が発生するだけのものではなく、もう少し範囲が広いです。

金属と周囲の環境や接触している物質との間に電子がやり取りされ、一種の電池のような状態ができれば、その部分で化学的な変化が生じます。


水と鉄のような状態でなくとも、別の金属や別の環境によっても金属が化学的に劣化してしまうことがあり、これらの現象を総合して腐食と呼びます。

錆というのは腐食に伴う生成物の一つと考えた方が良く、腐食は錆も含めた材料の劣化そのものを意味します。また、単に腐食対策と言っても、使用する金属や使用環境によって異なります。


1.2.腐食の種類

最も典型的な腐食は全面腐食です。

その名の通り、金属表面全面にわたって均一に進行する腐食です。

公園などにある鉄棒が一様に錆びているのを見かけることがありますが、これは全面腐食です。

錆によって見た目の変化や手触りなどが変化するだけでなく、表面が劣化することで一様に減肉してゆくことなどもあります。


一方で、金属の一部分のみを劣化させてしまう局部腐食という現象もあります。

耐食性が強く、錆なども生じにくい材料においても、一定の条件で不動態皮膜と言われる耐食膜が破壊され、その部分だけ腐食が進行する現象です。

全体としては腐食していないようで、一部分の厚み方向のみが劣化してしまうこともあり、この現象は急速に進んでしまいます。


全面腐食や局部腐食は空気中での反応が主な原因ですが、金属同士が接触しているような状態で、金属間での電子のやり取りが腐食につながってしまうこともあります。

このような現象をガルバニック腐食といいます。


金属同士を接触させるときは、隙間がなく空気に触れないので安心というわけではなく、それらの金属間でガルバニック腐食が起きないか、十分に配慮する必要があります。


1.3.腐食による影響

腐食が進行すると、劣化が進んで材料の減肉が起こります。


特に構造物では、予め強度を計算して材料の厚みを決めているものも多く、設定している厚みが減ってしまえば、当然強度不足が生じます。

塩分が混じる海水近くでは特に、腐食が進行して一気に構造が耐えられずに破壊してしまうこともあります。したがって、特に屋外の構造物は腐食対策が必須のものになります。


腐食は、材料が壊れてしまう原因としてとても深刻なものです。

過去の重大事故の中にも、腐食が原因となっているものも少なくなく、十分な腐食対策をすると同時に、定期的に部材の腐食のチェックを行うことも大切です。


また、錆を見るとわかるように、せっかく作った物の見た目や印象も、腐食の影響で大きく変わってしまいます。



2.鋼材と腐食

2.1.鋼材における腐食

鋼材は建物や機械など、比較的大きくて強度も必要な構造物に広く使われています。


前述の鉄棒の例のように、鋼材は特に塗装などもなく剥き出しの状態で空気中にさらされていたら、簡単に腐食が進んでしまいます。


よく見かける事例は全体が錆付いて見える全面腐食です。

例えば同じ鋼材である炭素鋼とステンレス鋼が電気的に接している場合などでも、ガルバニック腐食が進行する条件ができてしまいます。


配管などで炭素鋼とステンレス鋼をつなげるのは控えたほうが良いです。


2.2.鋼材の腐食を防ぐ方法

よく見かけるような、錆付いて全面腐食が見られる鋼材は多くが炭素鋼です。


ステンレス鋼は表面に不動態膜という空気との反応を防ぐ膜が張られ、そのままでも腐食を防いでくれます。不動態膜にも局部的な欠陥が生じることがあり、そのような場合には局部腐食を起こしてしまうこともあります。


炭素鋼の場合は不動態膜がなく、必ず何らかの形で表面処理を行う必要があります。

橋などの構造物の中には炭素鋼でできているものも多いですが、これらは塗装して防食しているものが多いです。また、支柱構造物などは亜鉛メッキなどをしているものもあります。


塗装というのは材料の表面に金属以外の物質を吹き付ける処理、メッキというのはメッキ液に漬け込んで金属の皮膜を発生させることです。

亜鉛という物質は鋼材と比べてより腐食の反応が進行しやすい物質なのですが、亜鉛メッキには、あえてこれを表面に付着させることで先に反応させ、鋼材の腐食進行を遅らせる効果があります。

このような防食方法を犠牲防食といいます。


近年では、あえて亜鉛メッキを最初から鋼材に施している亜鉛メッキ鋼板なども開発されています。

一方で、元々耐食性の高い金属皮膜を発生させる方法もあります。


このような方法は高耐食皮膜防食といい、皮膜の金属にはニッケルなどを用います。

メッキ自体に欠陥がなければ、ステンレスなどの局部腐食にも対応できます。



3.アルミニウム材と腐食

3.1.アルミニウム材における腐食

アルミニウム材も日常の中でよく見かける金属です。


アルミニウム材を見渡してみると、塗装やメッキをしている様子はないのに、錆が見られないものも多いと思います。

アルミニウムという物質は、ステンレス鋼のように不動態膜があり、素地のままでもこの膜が腐食から守ってくれるのです。


ただしステンレス同様、この不働態膜に欠陥がある場合もあり、局部腐食が生じてしまうケースはあります。したがって、アルミニウム材であっても防食を行う必要がある場合もあります。


3.2.アルミニウム材の腐食を防ぐ方法

アルミニウムの不働態膜の正体は酸化アルミニウムです。


この膜はとても薄く、素地のままでは耐食性という意味では心もとないものです。

この酸化アルミニウムの膜を人工的に厚く生成する方法があります。

人工的に酸化皮膜を生成する方法をアルマイト処理といいます。


アルマイト処理はメッキと違い、アルミニウム自体の反応を利用するため、皮膜は素材のアルミニウムの中まで浸透してゆきます。

また、皮膜は独特の孔状の形状を持ったまま成長してゆくので、その孔を利用した色付けもできます。


ただし、最後は封孔処理といってしっかり孔を塞いでやらないと、結局のところ局部腐食の原因になることもあります。


一方で、ステンレス鋼のようにニッケルなどの皮膜を利用した高耐食皮膜防食も有効です。

中でも耐食性の高いニッケルメッキは広く用いられる方法です。


ニッケルメッキの中でも、より有効な無電解ニッケルメッキという方法について、この後もう少し詳しくご説明します。



4.無電解ニッケルメッキとは

4.1.無電解ニッケルメッキの原理と特徴

ここからは鋼材(特にステンレス鋼)やアルミニウム材の腐食を防止する方法として有効な無電解ニッケルメッキについてご紹介します。


無電解ニッケルメッキはニッケルとリンの化合物を皮膜とした、高耐食皮膜防食の一つです。

ニッケルメッキには電解メッキと無電解メッキがありますが、無電解メッキの場合、その名の通りメッキを行う際に通電のプロセスを要しません。


電解液が含まれたメッキ液に材料を浸すと、材料自身が触媒となって電子が発生し、その結果皮膜が析出してゆきます。

その後、析出した皮膜も触媒として機能し続け、浸す時間に伴って皮膜の厚さを調節することもできます。


この方法を取ることで、電解メッキでは電極との位置関係でメッキにムラができていたものが、表面のどの場所を取っても均一な皮膜を生成することができます。皮膜自体の緻密性も高くなります。


無電解ニッケルメッキの主な目的としては、本記事の主題である耐食性の向上のほか、硬度、耐摩耗性、導電性、はんだ付け性、非磁性などがあります。


無電解ニッケルメッキの原理や特徴についてはこちらの記事もご覧ください。


4.2無電解ニッケルメッキと鋼材

ステンレスなどの鋼材に無電解ニッケルメッキを行う際は、脱脂→電解脱脂→酸洗い→メッキといった工程で行うことが一般的です。


また、不動態膜の除去や密着性の向上のため、事前にストライクメッキといわれる薄い電解ニッケルメッキをしておくこともあります。


ステンレスなどの局部腐食を防止するだけでなく、表面の耐摩耗性を上げたり、導電性やはんだ付け性を付与する目的にも使用されます。


4.3.無電解ニッケルメッキとアルミニウム材

アルミニウムに無電解ニッケルメッキを行う際は、

脱脂→エッチング→スマット除去→ジンケート処理→メッキといった工程で行います。

エッチングによって意図的に表面を粗くし、よりメッキの密着性を向上させます。


アルミニウムにも酸化膜の不働態膜が発生するため、表面を亜鉛に置き換えるジンケート処理という工程も入ります。

耐食性の他、表面が柔らかく傷つきやすいアルミニウム素材の硬度や耐摩耗性も向上し、耐久性が良くなります。


無電解ニッケルメッキのさまざまな素材へのメッキプロセスについてはこちらの記事もご覧ください。



5.無電解ニッケルメッキの耐食性

無電解ニッケルメッキの耐食性はニッケルとリンの化合物皮膜において、リンの含有量によっても異なります。


耐食性の高いリンが含有することで、電解ニッケルメッキより皮膜の耐食性は向上します。

なお、リンの含有率は高いほど耐食性も高くなります。


皮膜自体が緻密なので、その点でも耐食性が高いメッキ方法です。

局部腐食の原因の一つであるピンホールの発生率も低く、安定して耐食性の高いメッキを行うなら、無電解ニッケルメッキはとても有効な方法と言えます。


製品の品質もしっかり守ることができますね。

無電解ニッケルメッキの耐食性についてはこちらの記事もご覧ください。



6.まとめ

本記事では、前半に腐食について詳しく解説し、腐食対策の有効な方法である無電解ニッケルメッキについてもご紹介しました。


以下はそのまとめです。

  • 腐食とは金属材料において材料が化学的に変質し劣化してしまう現象のことである。

  • 腐食には全体腐食や局部腐食、ガルバニック腐食などの種類がある。

  • 鋼材やアルミニウム材にとって腐食は考慮しなければならない大きな課題である。

  • ステンレスやアルミニウムを腐食から守る有効な方法として、無電解ニッケルメッキがある。



7.弊社の対応について

当社の無電解ニッケルメッキの含リン率は高リンタイプが標準ですので耐食性に優れております。


本記事で紹介した鉄やステンレス、アルミニウムの他にも、銅・銅合金への処理実績もあります。

他の材料にも様々な実績がございますので、お気軽にご相談ください。


お急ぎの方はこちら 直通電話 090−6819−5609





【著者のプロフィール】

1996年、福井工業大学附属福井高等学校を卒業後、地元のメッキ専門業者に入社、 製造部門を4年経験後に技術部門へ異動になり、携帯電話の部品へのメッキ処理の試作から量産立ち上げに携わる。

30歳を目前に転職し別のメッキ専門業者に首席研究員して入社。 メッキ処理の新規開発や量産化、生産ラインの管理、ISO9001管理責任者などを担当。




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